CANVAS

こどもの“つくる”を応援する キャンバスマガジン

tocaboca_mvs

「デジタルえほん」の今とこれから#01

Toca Bocaの特徴の1つとして、その統一されたデザインと世界観が挙げられます。アプリごとに関わるアーティストが変わり、登場するキャラクターや人物も違います。しかし、全てにToca Bocaらしさが感じられる。そのデザインを指揮しているのがマティルダさんというわけです。マティルダさんは世界観を保つために5つの決まりを設けていると説明してくれました。

 

1. Everyday(毎日の生活)

子どもたちが毎日の生活の中で触れる環境を大事にするため、壁のしみや割れ目など、細かいことにこだわり、可能な限り本当の生活環境に近づけるようにする。キッチンがちらかっていたり、家具の一部が壊れているといった点も、実にリアルだ。

 

2. HUMOR (ユーモア)

子どもの視点からのユーモアを大事にしている。ちょっとおばかな感じを大切にしている。あるアプリでは、警報がなるとみんな驚くのに庶務のおじさんだけ喜んでいる姿がある。そんなクスッと笑ってしまう要素を盛り込んでいる。

 

3. ATTENTION TO DETAILS (細部へのこだわり)

細部に拘るという点がToca Bocaアーティストの最大の共通点。時計が本物の時間を追って動いている。冷蔵庫のマグネットが過去のアプリのアイコンになっている。お墓の石にチーフのイニシャルが入っている。子どもたちが宝探しのように細部の観察を楽しめるようにしている。秘密の遊びもたくさん盛り込まれているが、これは発見する喜びのためにも内緒。 最後の最後まで細やかにデザインする心意気を大事にしている。

 

4. QUIRKINESS (きもかわいい)

かわった見かけのキャラクターも入れる。ちょっとくらいおかしくてもいい、ちょっとくらい怖くてもいうことを子どもたちに伝えたい。きもかわいいキャラクターは他のアプリの会社との差別化になっている。きもかわいいはヨーロッパでは一般的ではなく、日本にこそその文化があるため、参考にしている。

 

5. UNISEX & DIVERSITY

専門家がユニセックスの観点からチェックするワークショップを必ず行う。肌の色、髪型、年齢、性別。十人十色のキャラクターを用意することで、世界中のすべての子どもが楽しめるということを大切にしている。現在100のキャラクターがあるが、すべての子どもたちがどれかのキャラクターに共感できるようにしている。ヘアサロンアプリでは、子どもたち自身が420万の種類の外見がつくれるようにし、ステレオタイプをつくらないことに注意している。ジェンダーフリーにするとダウンロード数も増えると言います。Toca Labを例にとると、初期のアプリは、青色や車のガレージなど、色合いやグッズが男の子に寄っていた。しかし、第2弾では修正を加え、ジェンダーフレンドリーにしたところ、女の子のファンも増え、ダウンロードが増えたそうです。1週間のダウンロード数が60万であったというから驚かされます。

現在、Toca Bocaの活動は世界に広がり、サンフランシスコやニューヨークにも支社を設けています。プロダクションはすべてストックホルムで担うものの、今後はテレビとの連携、グッズの開発等にも踏み出すそうです。特にグッズ開発に関しては、すでにプロダクト戦略の構築が始まっています。Toca Bocaの世界観でグッズ展開をし、リアルな世界にもってくる。といってもキャラクタービジネスのようなことは考えていないといいます。

「Play things in everything.(すべてのものを遊びにする!)」

単に製品の上にキャラクターをのせていくようなことには興味がない。グッズ展開の目的は、さらなる「遊び」の追求です。だからこそターゲットはおもちゃではなく、文房具やインテリアやファッション。

「世の中をプレイフルにしたいんです。」

第2話:Toca Bocaの世界観
2016.06.01 公開
第3話:Toca Bocaファミリー
2016.06.01 公開
第4話:5つの決まり
2016.06.01 公開
第1話:創造・表現する楽しさ
2016.06.02 公開