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こどもの“つくる”を応援する キャンバスマガジン

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ものづくりの街「燕三条」でのキッズイベント開催!
つばさんキッズLAB×ワークショップコレクション
当日レポート!

燕三条の伝統と最先端テクノロジーをかけあわせたワークショップが集結!

新潟県の燕市と三条市を合わせた地域「燕三条」は、多様な職人文化を育んできたものづくりの街。金属加工などの伝統的な技術を生かし、固いアイスもすくいやすいスプーン、保温・保冷機能に優れたタンブラー、切れやすく使いやすい包丁やハサミを開発したり、これまでの技術を現代の暮らしに合わせてさらに新しい価値を生み出す、世界に誇る製品をつくり出している地域です。

8月21日(日)、そんな燕三条地域で活動する青年会議所のみなさんによるワークショップコレクション連携イベント「つばさんキッズLAB」が実施されました。会場は、廃校になった学校を活用してつくられた三条ものづくり学校の体育館。東京都の世田谷ものづくり学校、島根県の隠岐の島ものづくり学校に続く3校目のものづくり学校として、普段から地域の方々に親しまれている施設での開催です。

 

イベントの準備が始まったのは昨年冬。CANVASによる研修会やプログラム提供などを経て、青年会議所メンバーの方々が日夜リハーサルを重ね実現した今回のイベント。実施したワークショップは、プログラミング・ドローン・3Dプリンタ、他さまざまなデジタルツールを活用した最先端の学びの体験ばかり!ただ、その中でも「伝統」と「今」を合わせてつくった新しい体験がさまざまなところに見られ、ここでしか味わえないワークショップがたくさん集められました。

例えば、「つばさん楽器」ワークショップでは、燕三条でつくられた製品に、マサチューセッツ工科大学メディア・ラボで開発された「MakeyMakey」をつなげて楽器しています。

 

また、「住んでる街を新発見!」では、燕三条の背景とタブレット描いた自分のイラスト を組み合わせてアニメーションを制作しています。

 

他にも、自分のお気に入りのぬいぐるみとSONYで開発された「MESH」を組み合わせることで、おしゃべりをしたり、歌うぬいぐるみに変身させるプログラム も。普段もおもちゃを使って戦いごっこをしているという男の子二人組は、動きを感知することができるブロック「動きタグ」を恐竜のぬいぐるみにつけることで、戦いごっこをさらにパワーアップすることに挑戦していました。

 

 

3Dプリンタでクッキーの型をつくったり、こまどりアニメーションをつくったり、プログラミングでゲームづくりに挑戦したり。「プログラミングははじめて!」というこどもたちも多い中、保護者の方も含めて体験できるものも多く、家族で楽しんでいる方々が多い印象でした。

 

地域のこどもは地域で育てる!
「ふつうの大人」による学びの場づくり。

これまでも燕三条青年会議所では「青少年育成事業」の一環として、地域のこどもは地域で育てるという考えのもと、小中学生向けの事業に取り組んできました。「100キロ徒歩の旅 」という夏休みイベントや、燕三条でのお仕事を体験できる職場体験プログラムなどのさまざまな企画が行われています。その根底にある共通の想いは「生きる力」を育みたいという気持ち。

これまでの取り組みと比べると、今回のイベントは少し「新たな」視点での試みであったとのこと。燕三条青年会議所を率いる理事長である相場さんに、今回の取り組みのきっかけについてお話を伺いました。

 

「燕三条の工場でもすでにロボット化されているところがありますが、第四次産業革命の動きは進んでいます。でもその動きはとても大切だと感じています。近い将来、今ある仕事はなくなっていくとも言われていますが、逆に新しい仕事もどんどん増えていきます。どんな仕事が生まれるかまだわからないけれど、だからこそ今のこどもたちには、自分で新しい仕事を生む人間、生み出そうとする人間になってほしい。
そんなこどもたちに必要なことは、発想力と表現力。これまでのやり方だけでは難しくなってくる可能性もあります。なのでこれまでとはまた趣向を変えた形での取り組みをはじめてみました。」

これまでの取り組みも、地域の資源を生かした素敵なものばかり。ですが、あえて新しいテクノロジーをどんどん取り入れていくことで、また新たな価値が生まれるはず。そう信じた理事長の想いは、こどもたちはもちろん、ワークショップをつくる青年会議所メンバーのみなさんにとっても刺激となり、実際に燕三条ならではの体験が生まれていきました。

 

今回の取り組みを実際に動かし、メンバーを引っ張ってきた田中委員長・土谷副委員長は、イベントをつくる上で大切にしてきたことについてこう話します。

「これからを生きるこどもたちが、ものをつくるという喜びを感じることは大事だと思う。
“なんかよくわからなかったけど面白かった!”という体験が、感情としてずっと続いていくことが大切なのではないかと思う。大人になった時にふと思い出すような、感情に残る体験。そういうものを今後も続けていけたらなと思います。」

つばさんキッズラボのワークショップ講師・ファシリテーターの皆さんは、全員がはじめてのワークショップ。ご自身も「ワークショップ」というものには参加したことのない人ばかりで、最初は戸惑いもあったとのこと。ただ、研修やリハーサルを続けていきながら積極的に改善案を考えたり、休日もプログラミングをしてみたり、主体的に関わる人たちがどんどん増えていったそう!

 

「講師は、製造業・保険業・農業だったり、経営者の人もいますね。普段はもちろんこども向けの仕事なんてやっていない、ふつうの大人です。社会の縮図のようなメンバーたちだからこそ、リアルに等身大に伝えられることもあるんじゃないかなと思います。」

学校だけでこどもたちを育むのではなく、地域全体でこどもたちを見守り・育む方法として、青年会議所の方々が各自の経験を持ち寄り、こども向けに何かをはじめてみるという形は、他の地域でも応用できるヒントになりそうです。

今後、このワークショップはウェブサイトでマニュアルを公開予定!また、9月22日(木)にはCANVASメンバーとともに、今回のワークショップをもとにした教育関係者やワークショップ実施に関心のある方々向けのセミナーも開催します。(詳細はこちら 。)これからの燕三条での取り組みにもご注目ください!