チルドレンズ・ミュージアム紹介第1弾。(「子どもの創造力スイッチ」より転載。)
CANVASの目標は、日本中のこどもたちに創造的な学びの場を届けること。だからこそ、普及・啓発に力を入れ、その一環でワークショップのパッケージ化もしてきました。
パッケージ化とは、どこでも誰でもが実施する事ができるように、ファシリテイター用のマニュアル等をつくり、必要な素材などとともにボックスに詰めたワークショップキットをつくること。パッケージ化をすることで、開催にかかるコストも下がり、学校や社会教育施設、ミュージアムや各種文化施設、週末の大学や企業で活用頂けるのではないか?
しかし、その頃、ワークショップは先生から生徒への一方通行の教えではなく、双方向のインタラクティブなプログラムであるため、ファシリテイターの資質によるところも大きく、パッケージ化は難しいと色々な方に言われました。2002年〜2003年にかけて欧米の子ども向け施設を調べてみると、ワークショップのパッケージ化やリスト化、ファシリテイター養成の仕組みづくりに取組み、普及活動を行っている施設がたくさん。それもその後チルドレンズミュージアム巡りをはじめた理由でもあります(*^^*)
そこで始めたのが「CANVASキャラバン」。プログラムをパッケージ化し、ファシリテイターを育成し、学校・保育園・学童・文化施設・商業施設に提供をしていきます!というプロジェクト。
さて、ここからが2008年のメモ。ボストンチルドレンズミュージアムが提供するミュージアムキットについて。
・ミュージアムキットは1909年からスタートしており、ミュージアムより古い100年の歴史がある。
・50種類のプログラムキットがあり、1プログラムあたり1〜12個ずつコピーを作成。
・プロセスを大事にしたオープンエンドなプログラムとなっており、1つのプログラムは2〜3週間で実施できるように設計されている。
・授業とアフタースクールでの利用が半々くらい。以前は6:4であったが、アフタースクールの方が自由度が高いため、そちらの利用が増えている。貸し出しはマサチューセッツとケンブリッジの小学校へは無料でそれ以外は有料。
・1つのプログラムキットの制作期間は6ヶ月〜2年であり、プログラムマネージャー、先生3人、その分野の専門家2人のグループで制作する。
・キット制作費は総額で100000ドル/年であり、企業からの寄付で賄っている。キットごとに個別に寄付を募っているケースもある。制作コストはピンきりで12000ドル〜60000ドル/パッケージ。(写真の animal defensesは一番安いプログラム。)安いものはティーチャーズガイドが20ページ程度。高いものは200ページ程度であり、OHPシートなどもセットで入っている。
・3週間の利用料が約100ドルであり、年間にのべ900キットが稼働する。夏はサマーキャンプ、YMCA、Boys & Girls、ガールスカウト、教会などに使われる。
・キット利用は81%がボストン、10%がボストン以外のマサチューセッツ、9%が27の他の州から。
教育キットはこのようなBOXに入っています。
中身はこのように関連資料や制作につかえる材料、そしてガイドブックが入っています
生物に関するBOXですとこんな感じ。
日本文化を学ぶキットもありました。
ボストンチルドレンズミュージアムでもう1つ好きな場所がリサイクルセンター。様々な素材がたくさんならんでいて、アートスタジオが併設。リサイクルセンターはボストンのみならずチルドレンズミュージアムの定番です。
アートスタジオでは、毎月ワークショップを開催。それ以外のときは素材で自由に好きなものをつくってよいことになっている。オープンエンドなプログラムであるため、やらないといけないことは設けていない。廃材を活用したアーティストによる作品が並ぶギャラリーが創作意欲を刺激します。