絵本づくり実験『12の星のものがたり』
『つくってみよう!へんてこピープル』
『しましまじま』と、同時期に出したのが『12の星のものがたり』です。これは、星座には全部お話がある。みんな十二星座を占いで使うのに、それが何かを知らない人が多い。だから12の星座に物語があるというのを見開きごとに紹介した絵本です。例えば、かに座。かに座は、九つ頭のヒドラという毒蛇のお話です。そのヒドラは大きな臆病者の化けがにと住んでいました。ある日、村の人が、ヘラクレスを雇って、ヒドラを倒しに行くわけです。ヘラクレスはヒドラの頭をつぎつぎ切り落とす。もうハラハラです。茂みからずっと様子を見ていたバケガニが、親友のヒドラを助けるために、ヘラクレスのかかとをぱちんと挟むんです。でも、ぺっちゃりつぶされちゃう、というお話。でも、それをヘラという女神が見ていて、勇気出したじゃないか、頑張ったじゃないか!という評価を得て、黄道十二星座に名前を入れてもらったんです。そして、さそり座。これも好きです。これはオリオンという狩りの名人が、威張って歩いてたところ、神様が「ちょっとあいつ生意気だから殺そう」となった。そして、何で殺そうかという会議をするわけです。「あんなやつは一番ちんけな虫けらみたいなのに殺させよう」と決まって、さそりが選ばれたわけです。さそりは、隠威張って歩いてきたオリオンのかかとをチクッて刺したら、ころって死んじゃった。よくやった!じゃあ黄道十二星座に!となったわけです。これむちゃくちゃなんですよ。
これ出すとき、奥様ともめませんでした?
これは、色でもめましたね。普段はカラフルに作りたがる体質があるのですが、これはまったく違いますからね。これも本をつくる実験としてつくりました。夜、上向いてこの本を開けると、見返しで夜空がまず広がる。そして、1ページ目にすすむと窓が開いて、そこから光が飛び込んでくる構成にしました。ところが、この本は、32ページと多いわけです。つまり15見開きを使わないといけないんですけど、十二星座は12個しかない。あと3見開きどうするか迷った末に、星座早見表にしました。必要でしょ?
学習もできますしね。
そうですね。僕パソコンは一切使わないんで、全部手で描きました。
星の位置はどうしたのですか?
藤井旭先生の本をみて描きました。星座って不思議で、星の結び方は各々自由なんですね。だから本によって全然違う。面白いんですよ。そもそも、星座のギリシャ神話って、むちゃくちゃじゃないですか。これを本にするのは楽しそうだなと思って、そこから勉強して作りました。『つくってみよう!へんてこピープル』も同時期に出しました。でもまったく違う本ですね。これも、理論社の関谷さんとい方が、「tuperaさんは工作だと思うんですよね」みたいなこというわけですよ。
すごい影響受けやすいですね。
受けやすいですね。そうですかね、みたいな話になって、工作の本を作りました。世の中にある工作の本はつまらないから、違う視点のおもしろい本づくりをしませんか?と言われたんです。僕達は、箱でトラック作ろう!みたいな本はつくりたくなかった。いろんな素材があって、いろんな人間が世の中にいるわけなので、いろんな素材でいろんな人を作る本がいいんじゃないかと思って『へんてこピープル』作りました。例えば、へらへらぞくだったら、へらをいっぱい集めて、へらへらした顔をかこうとかね。ねじねじじいさんは、新聞紙をぎゅうっとねじって、誰が一番性格の悪いじいさん作れるかと競ったり。
この本もすごく好きです。
僕達も、これすごく気に入っています。評価してくださる方がたまにいると、すっごいうれしい。こういう風に、最初の頃の方は絵本の可能性をいろいろ探っている時期でした。そこから徐々に絵本をつくるのが面白くなっていって、徐々に色々なものを作り始めるわけです。
出典元
書名:つくってみよう!へんてこピープル
著者名:tuperatupera
出版社名:理論社