CANVAS

こどもの“つくる”を応援する キャンバスマガジン

亀山 達矢 TATSUYA KAMEYAMA

tupera tupera(ツペラツペラ)

亀山達矢と中川敦子によるユニット tupera tupera 。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、アニメーション、雑貨など、様々な分野で幅広く活動している。絵本など、著書多数。海外でも様々な国で翻訳出版されている。NHK E テレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。

関連サイト

tupera tupera WEB サイト
http://www.tupera-tupera.com

NHK E テレの工作番組「ノージーのひらめき工房」
http://www.nhk.or.jp/kids/program/nosy.html

こどもメディアラボ「こどもとえほん」
ゲスト:tupera tupera 亀山達矢さん

恵比寿 amu にて開催されている、こどもとメディアの関係を総合的に考え、新しい価値を生みだすおとなの学び舎『こどもメディアラボ』。2014年より、メディアで活躍するさまざまなクリエイターを講師(ゲスト)で招き、それぞれの分野のプロフェッショナルな話を伺ってきました。

今回のキャンバスマガジンでは、過去の数あるトークイベントの中から、絵本「かおノート」の制作や、NHK E テレ の工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションなどでもおなじみのクリエイティブユニット tupera tupera 亀山達矢さんをゲストに招いて開催した回のトークアーカイブをお届けします。絵本づくりのプロから学ぶ「こどもとえほん」をテーマにした貴重なトークショー。聞き手は CANVAS 理事長の石戸奈々子さん。第9話でご紹介いただく本は『WONDER WORLD』『しろくまのパンツ』『どこどこハート』です。ぜひ、お楽しみください。

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   制作の連鎖『WONDER WORLD』から生まれた
『しろくまのパンツ』『どこどこハート』

これは『WONDER WORLD』という本。木の作品集です。中目黒にある、MIGRATORYというショップがオープンするときに、展覧会を頼まれたんです。それでお店を見に行ったら、そこは50年代からあった木工の工場を縮小してギャラリーとショップにした場所だったんですね。僕はちょうど絵本の展覧会をやった直後だったので、本当は展覧会をやりたくなかったんです。だから、どうせやるならなんかおもしろい形でやりたい、と。それで考えたのが、裏の木工所にちなんだ展覧会。木工所の廃材を使って、作品をいっぱい作ったんです。工場に、たくさん木をもらったのでお礼をしにいこうと思ったんだけれど、せっかくなのでお仕事を頼もうと思って、木を切ってもらったんです。ちょうど作品を作っている時に、東日本大震災があって。だから作品を販売して、それを震災の寄付とかにしたんです。みんなが買ってくれた。売れていくとどんどん作品がいなくなっていって、ものすごく悲しい気持ちになったので、本にして残しました。2000部限定の本です。

2000部限定で作ったんですね。

うん、2000部限定でこの本を作って、販売した。その時の作品に、これがあるんですよ。『しろくまのパンツ』。昔から仲良いブロンズ新社の編集長の若月さんが作品を買ってくれて、この作品で絵本を作ろう!と言ってくださったんです。その後、会うたびに、しろくまのあれはどうなったの?と聞かれて。

催促ですね。

二か月ぐらい経って、本にパンツはかせるのどうですか?って言ったんです。そしたら、「それいい!」みたいな話になって。

そんな突飛なアイディアを!

うん。「布にする?何にする?」って言われて、焦って布にするって言っちゃいましたよ。「わかった、布にしましょうか」と。一週間後に白い布パンツを履いた絵本ができて、生々しいんです。

たしかに、布だったら生々しいですよね。

やっぱり紙ですね…、と変えました。その次に紙でつくられてきたたのをみてこれでいこう!と。中身が何も決まってないまま締切りが三ヶ月後に設定されました。この本どういうものか見てない人もいると思うんで、見てみましょう。パンツを脱がしてから、読む。まず脱がせないと。

脱がせるって・・・。

世界初!パンツを脱がして読む絵本って広告でうたっているんですけど。

キャッチーですね。

これを今日は、ざっと説明しようか。『しろくまのパンツ』。

   (『しろくまのパンツ』読み聞かせ)

 

プリント

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結局、最初に戻ると、履いてるんです。原画もちゃんと履かせてるんです。10人中1人くらいが履いていることに気がつくぐらいの絵にしています。僕がお付き合いしている出版社は、みんな気持ちよく、みんなで楽しくつくっています。「パンツをはかせるとか何言ってんだ」と言われることもなく、本当に楽しく遊びながら作った本です。これ赤いパンツをなくしても、80円切手を同封して、パンツくださいっていうと、替えのパンツが送られてくるんです。これは僕の発想じゃないんですけど。出版社の発想なんですよ。

本の最後をみると、こっそり書いてありますよね。遊び心満載で、感動します。

今までこんなのないですよね。それを提案してくれた時には、本当に感激しました。この作品のことをそこまで考えてくれているんだって。。

子どもの夢を壊さないですね。私は、小さな子どもがいるんですけど、すごい乱暴者なのに、これはすっごく大事にしていた。どんなものも全部崩壊していくのに、これだけは全く切れない。そのくらい赤いパンツが大事なんですよ。

パンツ大好き。

パンツ大好き。それちょっとやばいですね。

これは五ヶ国語ぐらいで出版されてます。これはアメリカ版。パンツをいろんな国の国旗みたいにしたらおもしろいと思って提案したんですけど、だめっていわれました。

何でですか?

さすがにそれはまだだめって。笑

おもしろそうなのに。そうしたら、世界中のものを集める楽しみもできそうですけど。

そうですね。韓国と台湾でも出てます。子どもが抱っこしていたらかわいいな、飾ってあったらかわいいなっていう本として作って、あとで内容を考えた絵本ですね。こんなことできるんだなって自分で驚きました。

絵本というとストーリーを伝えるイメージもありますが、それだけじゃない絵本のあり方にチャレンジしているんですね。

そうですね。また、これからもこういう作り方するかもしれない。

これはすごいヒットしましたよね。

そうですね。そのあと出版したのがブロンズ新社の『どこどこハート』。パラパラめくっていくと、いろいろなところにハートが隠れてる。なんてことないんだけど。

楽しいですよ、こういうの。

 

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『どこどこハート』。これは人が人にプレゼントする本としてつくったんです。メッセージカードをプレゼントするように、贈り物に絵本をつけてプレゼントするんです。メッセージカードの延長線上にあるような本づくりができないかなと思って作りました。

ラブレーターみたいなイメージですね。

そうですね。だれか特別な人にあげる本を作れないかな?という思いで作ったんですけど、きっとそうやって、やっている人いないです。

つづく

第1話:絵本づくりのきっかけ『木がずらり』『魚がすいすい』
2016.01.11 公開
第2話:『しましまじま』の言葉あそび
2016.01.19 公開
第3話『12の星のものがたり』『つくってみよう!へんてこピープル』
2016.01.19 公開
第4話:アイディアを形にする『ワニーニのぼうけん』
2016.01.21 公開
第5話:『かおノート』の誕生
2016.01.25 公開
第6話:ワークショップでの新しい出会い
2016.01.27 公開
第7話:絵本から広がる世界『やさいさん』『くだものさん』
2016.02.05 公開
第8話:未知の世界へ冒険しよう 『ぼうしとったら』『タコさんトコトコどこいくの?』
2016.02.08 公開
第9話:制作の連鎖 『WONDER WORLD』から生まれた『しろくまのパンツ』『どこどこハート』
2016.02.10 公開
第10話:試行錯誤の絵本づくり 『さんかくサンタ』『アニマルアルファベットサーカス』『いろいろバス』『へびのみこんだ なにのみこんだ?』
2016.02.12 公開
第11話:パンダはお好き?『パンダ銭湯』
2016.02.15 公開
第12話:子どもも大人もご一緒に『うんこしりとり』
2016.02.17 公開
亀山 達矢 TATSUYA KAMEYAMA

tupera tupera(ツペラツペラ)

亀山達矢と中川敦子によるユニット tupera tupera 。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、アニメーション、雑貨など、様々な分野で幅広く活動している。絵本など、著書多数。海外でも様々な国で翻訳出版されている。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。

関連サイト

tupera tupera WEB サイト
http://www.tupera-tupera.com

NHK E テレの工作番組「ノージーのひらめき工房」
http://www.nhk.or.jp/kids/program/nosy.html