パンダはお好き?『パンダ銭湯』
そこで、最近そこら中で話題沸騰の『パンダ銭湯』ですね。
唐突ですね。そうくるかって思いましたよ。
ちょっと読みましょうか。『パンダ銭湯』
(『パンダ銭湯』読み聞かせ)
こどもたちの勘違いを呼んでいますね。パンダって目が怖いんだよね、と子どもに言われました。
僕はパンダ=かわいいっていうのを崩したかった。どう考えてもうさんくさい生き物なんですよ。よく見ると、なんだこの生き物はみたいな感じがあるのがパンダです。5年程前に、テレビを見ていたら、パンダが出てきて、檻で偉そうに座ってたんですよ。
別に偉そうにしているわけではないと思いますけどね。
何だこのおっさんは!って思って。そう思ったら、目がレイバンに思えてきた。そして西部警察の大門団長じゃないか!って思った。そう言っても最近うけなくなっちゃった。そうしたら、パンダの体はちびTを着ているのかな?と。スパッツとちびTとレイバンだ!脱がしたい!となっていって。どうやったら脱がせるかなって思ったら、温泉なんですよ。温泉だったら脱がせる。そこで、パンダが一年の疲れを癒すために、温泉に慰安旅行に出かけるのがいいと思ったんです。でも日本のパンダは団体行動していないイメージがあって。だから温泉でなく銭湯にした。パンダ専用銭湯に行って、そこでは本当の姿をさらしだすっていう本を作ろうとしたのがこれです。それが5年前。ここまで考えたのに、でも作れなくなっちゃったんです。それはなんでかっていうと、パンダのしっぽが黒じゃなかったんですよ。
たしかに、意外にも黒じゃなくて白なんですよね。
これだけ要所要所全部黒で押さえているデザインにしたくせに、後ろだから見えなかったのか、しっぽだけ白なの。
バランス悪いですよね。
悪い。何やってんだろう?と、パンダにかなりがっかりして。絵本のダミーでも、しっぽの黒のキャップ外したりしていたので、絵本のページ構成が全部変わってきちゃって、テンション下がったんですね。それで、ほかのことも忙しいし、お蔵入りになった。上野のパンダが妊娠っていうニュースが流れるたびに、引っ張り出してきて、やりたいな、とは思っていたんです。でもパートナーもやる気が無くなっていて、みんなやる気ないからな・・・と。パンダの秘密の本なんですよ。秘密を心に抱かれたまま、日々過ごすっていうのは苦しいわけです。早く出したいって気持ちがずっとあった。
その秘密なんですね。
だけど、やる気のない相方に鞭打って今年やるぞって決めました。誰が何と言おうと今年作る。早くやんないと気持ち悪い。図書館で銭湯の本をいっぱい借りてきて、どうやって表現するのかを試行錯誤しました。あえてリアルな背景にしたのがよかったんです。鉛筆デッサンで、相方の中川が頑張ってデッサンしました。僕はパンダ担当です。パンダが絵本全体で96体出てくるんですけど、なんでこんなに俺はパンダ作らなきゃいけないんだって、苦しいって言いながら去年の夏からずっとパンダを作っていました。原画では、目はピカピカする紙を切って作っていて、頭には黒のクレヨンを塗って、服には布目調のエンボスを入った紙を使っています。印刷では、その質感は出ないのはわかっていたのですが、原画ありきで作っています。僕はこんなにこの本がみんなに笑ってもらえると思ってなかったので、意外でした。
大ヒットでしたよね!
うん。ドカーってきましたね。ちょっと驚いています。銭湯のこともみんなそんなに知らないだろうなって思ったし。マニアックな人にうければいいかなって思ったんだけど。面白ければ知っている知らないなどあまり関係ないんですね。嬉しい反応です。