CANVAS

こどもの“つくる”を応援する キャンバスマガジン

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亀山 達矢 TATSUYA KAMEYAMA

tupera tupera(ツペラツペラ)

亀山達矢と中川敦子によるユニット tupera tupera 。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、アニメーション、雑貨など、様々な分野で幅広く活動している。絵本など、著書多数。海外でも様々な国で翻訳出版されている。NHK E テレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。

関連サイト

tupera tupera WEB サイト
http://www.tupera-tupera.com

NHK E テレの工作番組「ノージーのひらめき工房」
http://www.nhk.or.jp/kids/program/nosy.html

こどもメディアラボ「こどもとえほん」
ゲスト:tupera tupera 亀山達矢さん

恵比寿 amu にて開催されている、こどもとメディアの関係を総合的に考え、新しい価値を生みだすおとなの学び舎『こどもメディアラボ』。2014年より、メディアで活躍するさまざまなクリエイターを講師(ゲスト)で招き、それぞれの分野のプロフェッショナルな話を伺ってきました。

今回のキャンバスマガジンでは、過去の数あるトークイベントの中から、絵本「かおノート」の制作や、NHK E テレ の工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションなどでもおなじみのクリエイティブユニット tupera tupera 亀山達矢さんをゲストに招いて開催した回のトークアーカイブをお届けします。絵本づくりのプロから学ぶ「こどもとえほん」をテーマにした貴重なトークショー。聞き手は CANVAS 理事長の石戸奈々子さん。第11話でご紹介いただく本は『パンダ銭湯』です。ぜひ、お楽しみください。
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    パンダはお好き?『パンダ銭湯』

そこで、最近そこら中で話題沸騰の『パンダ銭湯』ですね。

唐突ですね。そうくるかって思いましたよ。

ちょっと読みましょうか。『パンダ銭湯』

    (『パンダ銭湯』読み聞かせ)

こどもたちの勘違いを呼んでいますね。パンダって目が怖いんだよね、と子どもに言われました。

僕はパンダ=かわいいっていうのを崩したかった。どう考えてもうさんくさい生き物なんですよ。よく見ると、なんだこの生き物はみたいな感じがあるのがパンダです。5年程前に、テレビを見ていたら、パンダが出てきて、檻で偉そうに座ってたんですよ。

別に偉そうにしているわけではないと思いますけどね。

何だこのおっさんは!って思って。そう思ったら、目がレイバンに思えてきた。そして西部警察の大門団長じゃないか!って思った。そう言っても最近うけなくなっちゃった。そうしたら、パンダの体はちびTを着ているのかな?と。スパッツとちびTとレイバンだ!脱がしたい!となっていって。どうやったら脱がせるかなって思ったら、温泉なんですよ。温泉だったら脱がせる。そこで、パンダが一年の疲れを癒すために、温泉に慰安旅行に出かけるのがいいと思ったんです。でも日本のパンダは団体行動していないイメージがあって。だから温泉でなく銭湯にした。パンダ専用銭湯に行って、そこでは本当の姿をさらしだすっていう本を作ろうとしたのがこれです。それが5年前。ここまで考えたのに、でも作れなくなっちゃったんです。それはなんでかっていうと、パンダのしっぽが黒じゃなかったんですよ。

たしかに、意外にも黒じゃなくて白なんですよね。

これだけ要所要所全部黒で押さえているデザインにしたくせに、後ろだから見えなかったのか、しっぽだけ白なの。

バランス悪いですよね。

悪い。何やってんだろう?と、パンダにかなりがっかりして。絵本のダミーでも、しっぽの黒のキャップ外したりしていたので、絵本のページ構成が全部変わってきちゃって、テンション下がったんですね。それで、ほかのことも忙しいし、お蔵入りになった。上野のパンダが妊娠っていうニュースが流れるたびに、引っ張り出してきて、やりたいな、とは思っていたんです。でもパートナーもやる気が無くなっていて、みんなやる気ないからな・・・と。パンダの秘密の本なんですよ。秘密を心に抱かれたまま、日々過ごすっていうのは苦しいわけです。早く出したいって気持ちがずっとあった。

その秘密なんですね。

だけど、やる気のない相方に鞭打って今年やるぞって決めました。誰が何と言おうと今年作る。早くやんないと気持ち悪い。図書館で銭湯の本をいっぱい借りてきて、どうやって表現するのかを試行錯誤しました。あえてリアルな背景にしたのがよかったんです。鉛筆デッサンで、相方の中川が頑張ってデッサンしました。僕はパンダ担当です。パンダが絵本全体で96体出てくるんですけど、なんでこんなに俺はパンダ作らなきゃいけないんだって、苦しいって言いながら去年の夏からずっとパンダを作っていました。原画では、目はピカピカする紙を切って作っていて、頭には黒のクレヨンを塗って、服には布目調のエンボスを入った紙を使っています。印刷では、その質感は出ないのはわかっていたのですが、原画ありきで作っています。僕はこんなにこの本がみんなに笑ってもらえると思ってなかったので、意外でした。

大ヒットでしたよね!

うん。ドカーってきましたね。ちょっと驚いています。銭湯のこともみんなそんなに知らないだろうなって思ったし。マニアックな人にうければいいかなって思ったんだけど。面白ければ知っている知らないなどあまり関係ないんですね。嬉しい反応です。

つづく

第1話:絵本づくりのきっかけ『木がずらり』『魚がすいすい』
2016.01.11 公開
第2話:『しましまじま』の言葉あそび
2016.01.19 公開
第3話『12の星のものがたり』『つくってみよう!へんてこピープル』
2016.01.19 公開
第4話:アイディアを形にする『ワニーニのぼうけん』
2016.01.21 公開
第5話:『かおノート』の誕生
2016.01.25 公開
第6話:ワークショップでの新しい出会い
2016.01.27 公開
第7話:絵本から広がる世界『やさいさん』『くだものさん』
2016.02.05 公開
第8話:未知の世界へ冒険しよう 『ぼうしとったら』『タコさんトコトコどこいくの?』
2016.02.08 公開
第9話:制作の連鎖 『WONDER WORLD』から生まれた『しろくまのパンツ』『どこどこハート』
2016.02.10 公開
第10話:試行錯誤の絵本づくり 『さんかくサンタ』『アニマルアルファベットサーカス』『いろいろバス』『へびのみこんだ なにのみこんだ?』
2016.02.12 公開
第11話:パンダはお好き?『パンダ銭湯』
2016.02.15 公開
第12話:子どもも大人もご一緒に『うんこしりとり』
2016.02.17 公開
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亀山 達矢 TATSUYA KAMEYAMA

tupera tupera(ツペラツペラ)

亀山達矢と中川敦子によるユニット tupera tupera 。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、アニメーション、雑貨など、様々な分野で幅広く活動している。絵本など、著書多数。海外でも様々な国で翻訳出版されている。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。

関連サイト

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http://www.tupera-tupera.com

NHK E テレの工作番組「ノージーのひらめき工房」
http://www.nhk.or.jp/kids/program/nosy.html