私も3才の子がいるのですが、毎日早く食べなさいと、怒ってばかりです。Goma流のいつもの朝ごはんが、楽しくなるヒントとか、お家で簡単にできる親子遊びとかあれば教えてください。
毎朝、時間は本当にないので、やれることは限られているんですけど。手作りマヨネーズを作って、顔の形のサンドウィッチを作るワークショップをやったことがあるんです。本当に簡単なハムサンドを作るだけですけど。サンドウィッチまで作らなくても、例えば手作りマヨネーズを週末に一緒に作っておいて、それを使ってオープンサンドを作ってみてはいかがでしょう。あの時に一緒に作ったマヨネーズで食べる!という気持ちになるので。
Gomaではよく作品に顔をつけています。ある日の朝、パンに顔があって、「あれっパンって生きているの?」みたいな驚きがあると楽しいかも。
ちぎった後が口になっていて、「早く食べて」って言ってるよ~と。あとは、トーストをアルミホイルで覆うと、覆ったところが焼けないのでイラストトーストができるんです。先にアルミホイルの型だけ用意しておいて、朝手早く焼いて、ポンって出したら、「わ〜なにこれ!」となりますよね。前日の夜に一緒にアルミホイルの型を用意しておいて次の日に出すともっと楽しいですね。
普段の朝が難しかったら、土曜日の朝とかにやってみると、その思い出が「食パンって美味しかったな、楽しかったな」となると思います。食に関する関心度が、今までよりは少しだけ大きくなると思うので、そういう機会をいっぱい作ってあげると、なにか変わるかもしれないですね。
ワークショップで早く作り終わって時間を余らせて飽きてしまう子と、ずっとこだわって作って終わらずに困る子がいると思いますが、その対応はどうしていますか?
メリハリをつけてワークショップをしているので「何分までに作らなかったらお持ち帰りだよ」と伝えて自己責任にしています。走り回る子も、走り回れる環境があればそのままにしておくし、そうではなければ、材料を渡してもう1つ作ってもらったりします。折角楽しい物作りをした場所なのに、そこが苦痛の場になるのは残念なことだと思うので、できるだけその子がいいように場所や環境に応じて対応しています。
アイデアが豊富だなと思うのですが、どういうところからその発想を得ているのでしょうか?
よく聞かれる質問です。
食をテーマにしているんですが、もともと食じゃないところから来ているので、ビジュアルだったり、味だったり、「こういう物を作りたいな」と思った時に、それをどうやったら作れるのか?というところから入っていくんです。決して料理を作るところからじゃないところから発想しています。そういうところを遊んでいるみたいと思われてしまうんですけど、何を作りたいかっていう、まずイメージはボンって出てきて、それをどう作るかが後からついてくる感じです。
そのイメージがドンって出てくるところが知りたいですね。
そうですね、いろいろなところから声をかけていただけるので、それが考えるきっかけになります。
人をビックリさせたいっていう気持ちが常にあるんですね。クスっと笑ってもらったり、何これ?って思われたり、ドキッとさせたり。そういうイタズラがビジュアルに結びついていてイメージになっています。色がカラフルなのも、そういうことかもしれないです。
見た事がない物に対してはものすごく興味があります。いつも好奇心は張り巡らせていて、国内外問わず、見た事のない形とか、盛り付けとか、看板とか、食べ物に限らず、自分が目にしたことがないものがすごく好きです。旅に行っても、観光地に行くより、街中をずっと歩いたほうが好きですね〜。多分そういうところも引き出しになっていると思います。
感度の高さと人を楽しませたいという愛情がインスピレーションの源なんですね。
あとは、自分が楽しいって思うことしかやってないですね。
それが一番ですよね。でも、すべてのことを楽しめるんじゃないの?とも感じます。楽しい事だけやっているんじゃなくて、「えっ、これ?」というレースを見させられても、それも楽しさに変えられちゃうように、すべてを楽しむ事に変換できているんじゃないかと。
確かに、変換能力は高いかもしれないです。与えられたことは一つじゃないと思うので、どこかに楽しみ方があるんじゃないか?と考えるようにしています。
初めにチェリーとさくらんぼを並べる話がありましたが、他の人に対しても、発想を転換して違う見方をするということを、ワークショップの中でも伝えているのかもしれないですね。
そうですね、自分たちが発見したことを「これどう?どう?」っていう感じです。教えるとか伝えたいとかではなく、こそっと投げてみて「おっ!これ面白いじゃん」と思われることを楽しみたい。
こどもが「見て見て、これ!」といっている遊び心が残っている感じですね。
ほとんどのことが感覚的にやったことなんですが、後付けでいい話になっています。(笑)指摘されて「それそういうことです」と言ってますが、あまり考えてやったわけじゃないので、ラッキーみたいに思っています。
きっと深層心理で……(笑)
これはポケット付きのエプロンでモンスターの顔になっています。こどもたちに食べ物の時間を楽しんでもらうために、食べ物以外で楽しくするというワザもあると思います。お気に入りの服を逆に着せちゃうとか。
なるほど。普段は駄目って言われていることをあえてやるとか
こうやると面白いよ!という技術面を教えてあげるくらいですね。だから、ワークショップでは、先生ではなくGomaちゃんと呼んでもらいます。一緒に作ろうというスタンスでいるので、教えるのではなく寄り添っています。こどもと親が1つずつ作る場合だと、お互いを見合いながら「お母さんやるな」みたいな関係になっている時もありますね。こどもの方が爆発的に面白かったり、こどもが終わって飽きているのに、親がずっと取り組んでいることもあります。
そうそう。発想の回路はいろいろとあると思うので、こうじゃなきゃいけない!と思うのではなく、どっか楽しいことないかな?というのを、真面目に探すのではなく、いたずら心を持ってみると、大人も楽しいと思うんです。
いたずら心を失わないようにしたいですね。最後に、1つだけ、お伺いしたいのですが、食の専門家じゃないからって仰っていたのですが、料理創作の専門家だと思うので、そんなお二人から見て、今日のテーマである“食”とは、なんでしょうか?
今日の会話でもありましたけど、私達にとって食とはコミュニケーションツールなんだなと思います。こどもと大人でもいいし、親と子でもいいし、友だち同士でもいいし、恋人同士でもいいし、食を中心に、人がつながれると素敵だなと思います。しかも、美味しい。食のまわりって、笑顔しかないと思うんですよね。小さいころの思い出って、食の思い出が多いじゃないですか。こどものころからそういう記憶がいっぱいあるといいなと思います。
食が世界をつなぎます。海外で活動を行ったとき思うのですが、お互い言葉は通じないんですけど、作ったり、食べたりすることで、心が通じることがあるなあって思ったんです。
言葉以上に雄弁に語ってくれるかもしれないですね。パリにもタイにも行かれて、日本から食を通じて世界をつなげる、そんなアーティストがGomaさんですかね?
言い過ぎです(笑)
でもそれを期待しています!それでは、ちょうどお時間になりましたので、まだまだ聞いてみたい事がたくさんあるのですが、本日のこどもメディアラボを終了とさせていただきます。