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こどもの“つくる”を応援する キャンバスマガジン

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「デジタルえほん」の今とこれから#02

21世紀を生きるこどもたちのために必要な新しいコミュニケーションや表現を生みだす、こどもたちのための新しい遊びと学びの道具「デジタルえほん」。
「デジタルえほんの今とこれから」では、デジタルえほんクリエイターをはじめとした、「デジタルえほん」にかかわるおとなたちへのインタビューやレポートを通じて、「デジタルえほん」とこどもたちの今とこれからをご紹介します。

「「デジタルえほん」の今とこれから」シリーズの第2弾となる今回は、カナダのトロントにある世界的なデジタルえほんの会社「Sago Mini」のアートディレクター兼イラストレーターであるアーロンさんにお話をお伺いしました。「Sago Mini」は、世界で1000万ダウンロードを誇る未就学児向けアプリを制作する会社です。発売中のアプリ数は18にのぼり、近年はおもちゃの開発にも乗り出しています。CANVASとデジタルえほん社が2011年から開催している「デジタルえほんアワード」にて2015年に準グランプリを受賞しました。

 

猫のジンジャーと楽しいドライブへ。行先と車を選んで出発します。 途中で洗車と給油も可能。 ドライブの終わりには、ハッピーなお楽しみが…!

 

 

 

デジタルえほんアワード審査員である、絵本作家のきむらゆういち氏は

「存在感というのであろうか。たくさんの作品を見終わったあとに、なぜかいちばん印象に残ったのである。シンプルでこどもでもすぐ遊びに入れそうで安定感がある。 なんだかもう一度やりたくなるような楽しさがあり、ほのぼのしていてとてもいい。 発想的にはもっと奇抜なのや、斬新な絵のものもたくさんあったが、理屈ではなく、どこか心の奥に残る作品」

また、クリエイター・プロデューサーの水口哲也氏は

「キャラクターと一緒に、車や持っていく荷物選んで旅をする。とてもシンプルなインタラクションだけど、世界を旅して写真を撮りためていく感覚が楽しい。こどもの想像力を拡げてくれそうな秀作」

といった賞賛のコメントを寄せています。
世界中から愛される「Sago Mini」のアプリ、いったいどのようなコンセプトで作られているのでしょうか。「Sago Mini」がアプリをつくる際に大切にしている信条として、以下の4つが掲げられています。

1.ひとりでもできること
「Sago Mini」のアプリは、ほんの少し、またはまったくサポートなしでも小さなこどもが楽しむことができ、達成感を得ることができます

2.主人公であること
「Sago Mini」のアプリは、ユーザーが自ら参加することで、ユニークな成果や経験を体験できます

3.美しいこと
「Sago Mini」のアプリは、美しいオリジナルのアートワークや、アニメーション、サウンドを備えています

4.ユーモアがあること
「Sago Mini」のアプリは、こどもたちを笑顔にします

 

例えば、人気のアプリ「Sago Mini Babies」では、おなじみのネコやウサギのキャラクターのお世話をします。食べさせたり遊んだり、おふろに入れたりなど、日常のアクティビティを楽しみながら、共感する心や自分の世界を知り、自主性を育むことができるのです。アプリ内には課金も第三者広告も一切ありません。

このように、Sago Miniのアプリは、子どもたちに愛されるだけでなく、多くの保護者からこどもの初めてのアプリに最適だと信頼を寄せられています。それは、こどもが本来持つ感覚や創造力、好奇心をベースに、安全でポジティブで楽しいアプリを作っているからにほかなりません。

つづく

第1話:「Sago Mini」とは
2017.02.01 公開
第2話:デジタルえほんがめざすもの
2017.02.08 公開
第3話:「Sago Mini」ができるまで
2017.02.15 公開
第4話:こどもとテクノロジーと教育と
2017.02.22 公開
第5話:〈番外編〉アーロンさんとこどもたちとの質疑応答
2017.02.27 公開