『かおノート』の誕生
そうこうするうちに、僕たちにとって、ターニングポイントとなった絵本がでました。やっぱりそれは『かおノート』ですね。
これはかなり売れましたよね。私も全シリーズを買って、たくさんかおをつくりました。
そうですね。多分一番です。無印良品からも出しているので、無印良品バージョンと合わせると、やはり一番売れているんじゃないですかね。
『かおノート』で初めて tupera tupera さんを知ったっていう人もいますよね。
それは多いですね。実は、『かおノート』の前に、『ジャバラワークブック』というのを作っていたんです。コクヨが絵本事業を立ち上げる際に相談があったんです。ジャバラワークブックは、長くに伸びるジャバラ絵本なのですが、1ページ1ページに人が描かれていて、みんなが手をつないでジャバラ状になっているんです。そこにシールや折り紙を貼って、絵本を完成させるようになっています。手と手をつないでどこまでもっていうサブタイトル。そのジャバラとシールと色紙が箱に入ったボックスタイプの本。幼稚園でも、広げてみんなで作ってくれたり。非常に評判がよかったんですが、高いんです。2000円くらいしたので、特別な日にしか買わないという問題がありました。そこでもう少し手軽に楽しめるものを作りたいという話になったんです。その頃は、ちょうど中川が妊娠していた時だったんですね。だから、どんな子どもが生まれるのか?ということにすごい興味があったんです。使い慣れていないPhotoshopで生まれてくる子の顔を描いたり、合成したりしていたんです。それで顔がちょっと気になっていたんですね。だから、顔をテーマにしたワークブックだったら、おもしろいのではないか?と思いました。全身でなく、顔だけ。コクヨ=ノートというイメージがあったので、顔のノートで「かおノート」でいこうかなと。中にはいろんな顔が入っています。これはバランスをとるのが難しかったです。写真とイラストのバランス。それから、顔を仕上げすぎちゃうと、やり手側のテンションが下がるので、どれぐらいまで自分たちの色を出すのか、バランスを保ちながら作りました。これは好評でした。福笑いもそうですが、やっぱり顔っておもしろいんですよ。どうしても変な顔できちゃうじゃないですか。
つくっていると、そこから会話が生まれますよね。
うん。その顔を見せると周りが笑うんですよ。それで、広がっていくんです。
大人もはまっている人いますよね。私もその一人ですが。
そうそう。98歳のおじいちゃんが「俺が一番最初にこれを考えた」って怒っていました。広告とかを切って顔を作っているらしいんです。ベースを作って。
その方、素敵ですね。
いいですよね。年配の方も頭の体操にいいみたいで。あとは海外の人たちが楽しんでくれたりしています。
どこの国で特に評判がいいんですか?
無印の店舗で売られているので、アメリカとかフランスですかね。顔は最大の共通言語みたいなところがあるので、みんな楽しいんでしょうね。作ってよかったなと思っています。
新しい道が開けた?
うん。顔っていうのは僕の中でこれ以降大きなテーマになっていますね。
バージョン2も出ましたよね?
バージョン2は二年後ぐらいに出たのかな。これは、まず表紙が思いついちゃったんですよ。表紙が思いつかなかったら、やめようと思ってたんですけど。
思いついたから作らなきゃ!っていうパターンですね。
そうそう。2冊セットにしよう!と。ちょうどマイケルジャクソンが亡くなったので、マイケルリスペクトと思ってマイケル風の顔ベースも入れました。
本当にリスペクトしてたんですか?
マイケルはもうリスペクトですよ。子どものころに、スリラーを見て以来、ずっと大好きなので。「かおノート」は、二冊セットで使うとバリエーションが出てきます。こっちのパーツをこっちに貼ったり、無限に広がっていくのでおすすめです。いまは、スマートフォンのカバーに貼るととかわいいですよ。