先程パンを作るワークショップのお話がありましたが、ワークショップでいうと他にはどういうことをなさっているのですか?
そうですね。食のワークショップと工作系ワークショップと手芸系ワークショップがあります。他はデコレーション系のワークショップもありますね。
大きな土台を置いて、それにどんどんデコレーションを加えていってもらうインスタレーションのようなワークショップです。ワークショップは、いつも頼まれるテーマが違うので、その都度、主催者さんとお話をして、こどもの年齢と場にあったものを考えるようにしています。 例えば絵本の形のクッキーを渡して、自分の思う1ページを作りましょうというワークショップもやりました。クッ キーは本が開いた形のものをGomaで焼いて、渡して、チョコのデコペンとカラーシュガーやナッツなどの素材で、その上に絵を描くんです。紙も一緒に渡して、そこにストーリーを書いてもらいます。絵は1場面なのでいきなりストーリーが始まるんですが、こどもの中では、いろいろなイメージがつながっているんです。
食べられる絵本は魅力的ですね。
そうですね。最後は持って帰ってもらいました。家族で食べたら楽しいですね。
この写真は男子の作品ですね。内容が激しく、クッキーだけ見ていると、どんな話なのか全然分かりませんが、こどもはちゃんと頭の中で、このシーンだって想像しながら書いているので、こうきたか!というお話が待っています。「何かの芽が生えてきました。その芽が木になると、鎧の木といって人の目を抜く恐ろしい木になってしまう。」と書いてありますね。
紙に書いてもいいのですが、食べ物に書くのが面白いんです。ちょっと食べながら描いている子もいます。ある子は、口元にカラーシュガーですごい色になっていて。
真っ赤とかね。
本人は気づいてないんですよね?
本人は、ただただ食べています(笑)。
私達も、全部食べられる街をつくろう!といって、食パンをベースにしながら、いろいろなものでデコレーションしていくっていうワークショップを開催したのですが、こどもたちはもったいなくて食べたくないみたいですね。この絵本もそういう反応ないですか?
これはどうするの?って聞くと、帰って家族にあげると答える子が多いですね。みんな誰かにあげたいという気持ちで作っているみたいです。お母さんにあげたいとか、お姉ちゃんにあげたいとか。すごく怖い顔の絵を書いている子がいたんです。目とか吊り上がって、口もすごく怖い。聞いてみたら、お姉ちゃんの似顔絵だという(笑)。そしてお姉ちゃんにあげるって言うんですね。
お姉ちゃん、なんていうんですかね?
わからないですけど、明らかに、すごい吊った目の怖い顔でした。
それぞれの世界感があるんだなって、いつも思います。
チョコレートで何かを作るワークショップをよくやっているのですが、最後にラッピングしてもらうんですね。そうすると、みんな贈り物という気持ちがすごく強くなって、「これは誰々にあげる」と喜んでくれます。
それはいい工夫ですね。相手が見えるほうが、心が込められますし。かといって「誰々のために作りましょう!」と言うのではなく、ラッピングという行ためだけで相手をイメージさせるというのは面白いですね。
こどもたちは最初の方から誰にあげるのか想像しながら作るみたいですよ。最初のとっかかりで「今日はこういうことをやりますよ」と始めても、パッと想像して取りかかれない子もいるんです。そういう子に向けて、発想を導いてあげることが必要なんですが、そういう時に「誰にあげようかな」と想像してみると、それがテーマになって、あげたい人の好きなものは何かとか考えられるようになります。
キッカケになるんですね。
そういうこともありますね。
Gomaさんが、パリで行っていたワークショップもとてもいいなと思いました。こどもたちに、創作料理の絵を描いてもらって、それをGomaさんたちが本当に料理して形にしてあげていらっしゃって。こどもたちが自由に描いたものを全部形にできるってすごい!と感激したのが、そのパリのワークショップでした。
「ゴマと子どもとキュイジーヌ」の中のことかな?あれはGomaとこどもとコラボレーションするというテーマでやりました。こどもの自由な発想、こどもが描く絵って、かなわないなと思うぐらい素敵なんですよ。この絵をいかしたものを作りたいなと思いました。