次は「段差」をテーマにお話します。オランダの急な階段がある幼稚園に行ったことがありました。その階段をみて、一緒に同行してもらった日本の幼稚園の先生たち全員が「日本じゃ無理だよ」と言います。「ここから落ちたらどうするんだ」となるわけです。そこで、この園のオーナーに「落ちたらどうするのか?」と聞いてみると、「落ちないわよ」の一言で終わるんです。そんなことよりも、ここで何が行なわれるかをお話してくれます。階段の思い思いの場所に本を持ってきて読む。下に先生が立ち、上に生徒が座り階段教室にする。劇を行なう舞台にする。このような多様な使い方ができることをプラスに捉えているんです。けっこう急なんですよ。オランダの他の園にも急な階段があって、集合写真時に適していると言います。段差も楽しいものになるんだぁと思いました。
これは、僕らの事例で、段差を利用した写真です。ココが危ない、ココで怪我したらどうするんだ、とやはり指摘されます。でも、写真に写っているこの女の子は、この段差の高いところから跳ぶのです。ちょっと段差があると、跳んでみたいなというのは、子どもの心理としてあるんじゃないかと思います。高いと感じるか低いと感じるかは、子どもによって違いますが、この子は、この段差を跳べたことで、達成感を味わっていると思います。次、もっと高いところから跳ぶかもしれません。僕はそういう空間を作って行きたいのです。
次の写真は、保育園の段差を利用した空間です。奥の方の隅に子どもが1人座っているんです。子どもってこういう隅が好きだなとつくづく思いました。
次の写真は、フォークリフトのパレットを利用したものです。目黒の英会話・学童ですが、お金が全然なかったのですが、オーナーの情熱があり、どうしてもお願いしたいと頼まれてやった事例です。1枚2000円ぐらいのパレットをいっぱい積んだんです。そうすると、段差ができ、収納もできる。本を入れたり玩具を片付けたりもできますが、本を読むときに腰掛けたりもできる。段差を利用した事例です。ここの園も素晴らしい園長で、目黒にありますので、行ってみてください。